1〜3歳児における刷掃習慣と齲蝕有病について

概要

論文の詳細を見る
乳歯齲蝕に関する刷掃習慣の効果を明らかにするために, 1〜3歳児の1,221名について口腔診査と刷掃習慣の質問紙調査を行なった。得られた成績の統計学的検尉を行ない, その知見は次のとおりである。 1) 齲蝕有病状況に性差を認めなかった。平均dmftは増齢的に増加し, 1〜3歳児の値はそれぞれ0.53, 2.36, 8.76であった (Table 2)。 2) 毎日1回以上みがく幼児は増齢につれて増加し, 1〜3歳児における割合は順次45%, 59%, 69%であった (Fig. 2)。 3) 毎日の刷掃と齲蝕有病状況との関係については, 1〜2歳児では毎日2回以上刷掃群は他群に比べて齲蝕が多く, 3歳児においては毎日2回以上群が他群に比べて齲蝕が少なかったが, 統計学的有意差は存在しなかった (Table 3, 4)。 4) 刷掃開始年齢と齲蝕有病状況との関係については, 刷掃を早期に開始した群は刷掃を遅く開始した群に比べて齲蝕は少なく, 2〜3歳児においては統計学的有意差を認めた (Table 5)。 5) みがき始めた動機と齲蝕有病状況との関係については, 「虫歯ができたので」動機群の平均dmftならびに平均dmfsは, 他の動機群および非刷掃習慣群に比べて高い値を示し, 1〜3歳児においてその差は統計学的に高度に有意であった (Table 6)。 これらの知見から, 多くの疫学的調査において, 刷掃習慣群と非刷掃習慣群の間の齲蝕有病に差が認められないことの理由は, 幼児における日常の刷掃による予防効果が, 齲蝕に罹患したので最近に刷掃群に加わった齲蝕感受性の高い幼児によって隠されてしまうためだと推測した。
有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文

1〜3歳児における刷掃習慣と齲蝕有病について

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク