保育園児における歯肉炎の歯垢,刷掃ならびに食習慣との関連について

概要

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乳歯列における歯肉炎の発病因子を疫学的に研究するために, 1〜6歳の仙台市内保育園児1,842名について, 上顎前歯部唇面の歯肉炎と歯垢付着状況を診査し, さらに, 質問紙を用いて刷掃習慣と食習慣の調査を実施して, 歯肉炎と各種要因との関係を統計学的に検討した。刷掃習慣児の歯垢平均値は非習慣児のそれより小さく, その差は2〜5歳児において統計学的有意であった。刷掃習慣児の歯肉炎指数平均値も非習慣児のそれより小さく, 3・4・6歳児においては有意差であった。また, 歯垢値と歯肉炎指数の値との間には各年齢児群において統計学的に有意な正の相関関係が認められたが, その値は0.35以下であり, 高い相関係数ではなかった。さらに, 食習慣による群別の歯肉炎指数平均値の間には統計学的有意差を認めなかった。以上のことから, 乳歯列における歯肉炎は, 歯垢の付着状況や刷掃頻度によってある程度は左右されていると思われたが, 学童や成人集団における歯肉炎よりはその影響は小さいと思われる成績であった。したがって, 乳歯列と永久歯列における歯肉炎の発病の相違の理由について考察を加えた。
東北大学の論文
1984-08-15