一農村の成人住民における口腔状態の5年間の変化について
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概要
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1986年と1991年における宮城県一農村地区成人住民各々1,119名(男性540名, 女性579名)と1,041名(男性469名, 女性572名)を対象に, 視診型歯科検診を行い, 一人平均の処置歯数, 未処置歯数, 喪失歯数, 未補綴歯数に関する両調査年の成績について, 男女別, 年齢階級別に比較検討して以下の成績を得た。1991年の年齢階級別一人平均処置歯数は, 1986年のそれより男女ともに増加し, 最大増加量は男性が3.08歯, 女性が3.13歯であり, 男性の40歳代で55-59歳と60歳代, 女性の40-69歳で統計学的に有意に増加した。年齢階級別の一人平均処置歯数は1991年調査値では1986年より減少し, その差の最大値は男性が1.97歯, 女性が1,03歯で, 男性では40-64歳に, 女性は40-64歳と70-74歳に有意な減少を認めた。年齢階級別の一人平均喪失歯数は, 男性の両調査年間の最大減少量が1.58歯, 女性のそれが2.66歯と減少傾向を示し, 男性では, 60-74歳に, 女性では50-54歳と65-69歳で有意に減少した。男女の年齢階級別の一人平均未補綴歯数は, 男性は1.96歯, 女性は1.01歯の各々最大減少を認め, 男性の45-49歳と55-79歳, 女性の40-49歳, 60-64歳及び70-74歳の年齢群において両調査年間で有意な減少を示した。以上の成績から, 本調査対象である壮年期以降の住民の口腔保健状態はこの5年間に改善したものの, 依然として未処置齲蝕及び未補綴の部位が残存しており, 高度齲蝕や歯の喪失は増齢的に増加した。従って, これらの歯科疾患の治療及び補綴処置を勧める一方, 地域住民における口腔衛生思想の普及並びにその向上を今後さらに推進する必要があると考えられた。
- 1992-12-29
著者
-
田浦 勝彦
東北大学歯学部附属病院予防歯科学
-
深瀬 啓之
東北大学歯学部
-
坂本 征三郎
東北大学歯学部
-
田浦 勝彦
東北大学歯学部附属病院予防歯科
-
田浦 勝彦
東北大学大学院歯学研究科発達加齢歯科学講座予防歯科学分野
-
田浦 勝彦
東北大学歯学部予防歯科学教室
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