永久歯平均喪失年齢に関する研究 : 第一報 平均喪失年齢の算出方法と歯科疾患実態調査成績に基づいた年次推移について
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概要
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1957年から1987年までの歯科疾患実態調査資料を用いて, 5歳毎の年齢階級における歯種別喪失歯率を確率積分表で変換し, 正規確率紙のX軸を年齢, Y軸をσ目盛りとして直線回帰式を求め, 理論喪失歯率を計算して実測喪失歯率との間のX^2検定を行ったところ, 永久歯喪失の年齢推移は正規分布型として扱ってよいという成績が得られた。従って, 求めた回帰式の中央値を平均喪失年齢と考え, 調査年別の性別, 歯種別永久歯の平均喪失年齢を算出した。次いで, それらの年齢推移について回帰分析を行い男女別, 歯種別に検討を加えた。その結果, 平均喪失年齢の最低値を示した年度は男性では下顎第二大臼歯を除いて1975年であったが, 女性では上顎第一大臼歯, 下顎の第二小臼歯, 第一, 第二大臼歯が1957年で, その他の歯種では1963年であった。一方, 最高値については男性では下顎の中切歯と犬歯を除く他の歯種, 女性では全歯種において1987年であった。男性の上顎側切歯と下顎の中切歯, 側切歯, 犬歯, 第一小臼歯の平均喪失年齢は1957年から1975年の間に有意の負の直線回帰性が認められ, 上顎の犬歯, 第一小臼歯, 第二大臼歯と下顎の中切歯, 側切歯は1975年から1987年の間に有意の正の直線回帰性を示した。女性の上顎第一大臼歯と下顎の第二小臼歯, 第一, 第二大臼歯の平均喪失年齢は1957年から1987年の間に, その他の歯種は1963年から1987年の間に有意な正の直線回帰性が認められた。以上の成績から歯種別の平均喪失年齢は, 男女ともに1975年以降は調査回毎に前回調査値より上昇しており, 今後, 国民の口腔衛生状態が著しく後退しない限り, 平均喪失年齢の上昇傾向はある程度持続するであろうと考えられた。
- 1993-06-30
著者
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