若年者からの抜去小臼歯における小窩裂溝の初期齲蝕について
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概要
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萌出後まもない歯牙の窩溝部における窩溝形態と初期齲蝕の有無ならびに存在部位について観察し齲蝕の初発部位を推定しようとした。<BR>8〜15歳の歯列矯正患者より抜去した臨床的に健全又は着色程度で電気抵抗値600KΩ以上を示す上下顎小臼衡124歯 (窩溝数141) を試料とし, 硬組織薄切機を用いて頬舌的に200μm前後の連続切片とし, それぞれについて70〜120μmの未脱灰研磨標本835を作製した。<BR>生物顕微鏡, 偏光顕微鏡ならびに超軟X線発生装置で未脱灰研磨標本を観察し, 万能投影機を用いて窩溝部の形態計測を行い, 次の結果を得た。<BR>1) 上下顎小臼歯の窩溝形態各型の出現頻度はIK型が141窩溝中55窩溝と最も多く, 次いでI型40窩溝, U型19窩溝, V型14窩溝, その他13窩溝であった (Table 3)。<BR>2) 齲蝕の有病状況は124歯中54歯 (43.5%) , 141窩溝中56窩溝 (39.7%) に齲蝕が存在していた (Table 5)。<BR>3) 初期齲蝕の存在部位はどのような窩溝形態型にもかかわらず一定の傾向を示し, 56齲蝕すべてが上部側壁部に存在し, 窩溝開口部に55齲蝕 (98.2%) , 中部側壁部に47齲蝕 (83.9%) , 下部側壁部に34齲蝕 (60.7%) , 窩溝底部に14齲蝕 (25%) が存在した (Fig. 2, Table 6)。<BR>以上の知見より上下顎小臼歯の窩溝齲蝕の主たる発生部位は窩溝開口部から上部側壁部であると推定された。
著者
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