パルボウイルス感染犬に認められた大腸菌血症とエンドトキシン血症
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概要
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パルボウイルス感染症と診断された雑種犬3症例において大腸菌血症とそれに伴うエンドトキシン血症が認められた.エンドトキシンの血漿中でのレベルは臨床例で46.5pg/mlであった.一方,健康な犬では2.3pg/mlであった.臨床例の糞便フローラは乱れ,大腸菌が主要な細菌となっていた.大腸菌の一部は血液から分離された菌と血清学的に同一であった.これらの大腸菌はSTやLTの様な毒素を産生しなかった.病現組織学的検索では小腸上皮の変性および壊死を認めた.小腸上皮細胞にはウイルス封入体を多数認めた.小腸粘膜下の血管内およびその周囲には好中球や形質細胞の浸潤をともなう水種およびフィブリン様物質の浸出を認めた.肝臓をはじめとする種々の臓器には好中球浸潤と播種性血管内凝固像が観察された.パルボウイルス実験感染犬は同ウイルス感染に特徴的な臨床症状を示し,糞便中にウイルスを排出した.これらの犬の血漿中のエンドトキシンレベルは感染にともない次第に上昇し,10-30日にわたり高いレベルを持続した.最も高いレベルを示した時点の血漿中の平均エンドトキシン量は73.6pg/mlであった.これらの結果は腸内フローラがCPV感染において重要な役割を演じていること,およびエンドトキシンが感染後の病状悪化因子のひとつであることを示している.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1989-06-15
著者
-
波岡 茂郎
全農家畜衛生研究所
-
波岡 茂郎
北海道大学獣医学部家畜内科学教室
-
小沼 操
酪農学園大学
-
林 正信
北海道大学獣医学部実験動物学
-
磯貝 恵美子
東日本学園大学
-
磯貝 浩
東日本学園大学口腔解剖学教室
-
小沼 操
酪農学園大 酪農
-
磯貝 浩
札幌医科大学医学部動物実験
-
水越 紀子
北海道大学免疫科学研究所
-
小沼 操
酪農学園大学獣医畜産学科微生物学教室
-
波岡 茂郎
北海道大学
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