X線照射後のLEC系ラット細胞株における異常なG1アレスト

概要

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LEC系及びWKAH系ラット細胞株の細胞周期の進行に対するX線照射の影響を検討した. WKAHラットの細胞を5GyのX線で照射し, その後の細胞周期の進行をフローサイトメーターで決定した時には, 照射後8時間でS期の細胞の割合は減少し, G2/M期の細胞は増加した. 照射後18と24時間では約80%の細胞がG1期に存在した. 一方, LECラットの細胞では照射前に比較して, 照射後8〜24時間の間でS期の細胞の割合は増加し, G1期の細胞は減少した. この様にWKAHラットの細胞では放射線によるG1期からS期への進行の遅れ (G1アレスト) が見られるのに対して, LECの細胞では見られなかった. WKAHラット細胞の場合には非照射細胞あるいは照射後0時間の細胞と比較して, 5GyのX線照射後1と2時間でp53タンパク質のバンドの強度は増加したが, LECラットの細胞ではバンドの強度は弱く, また, X線照射後にバンドの強度の有意な増加は認められなかった. 本研究の結果はLECラット細胞における放射線抵抗性DNA合成はX線照射後の異常なG1アレストに起因することを示唆した.
社団法人日本獣医学会の論文
1997-09-25