ファブリキウス嚢細胞のin vitro培養時におけるアポトーシスの誘発に対する抗酸化剤の影響
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概要
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ファブリキウス嚢から細胞を単離し,細胞間接触を物理的に壊した後,in vitroで培養することでアポトーシスが誘発される.アポトーシスを誘発する細胞の頻度は培養時間にともなって増加し,6時間で70%の細胞がアポトーシスを誘発した.このアポトーシスの誘発はアスコルビン酸(ビタミンC)で細胞を処理することで有意に抑制されたが,ビタミンE誘導体であるトロロックスでは抑制されなかった.アポトーシスの生化学的指標であるDNAの断片化もアスコルビン酸では抑制されたが,トロロックスでは抑制されなかった.細胞内における反応性の高い酸素ラジカル(ROS)の生成量をDCFH-DAからの蛍光発光を指標として測定し,ROSの生成と対応する発光強度はin vitroでの培養0.5-2時間で0時間での値の2倍以上増加することが示された.発光強度はアスコルビン酸の添加によって無処理細胞の20-30%に減少したが,トロロックス処理では対照の50-70%程度であった.ROSによって生じる脂質の過酸化をcis-パリナリン酸から発光する蛍光によって測定することで,細胞を単離した後ファブリキウス嚢の細胞の脂質の過酸化が起ることが示された.トロロックスは脂質の過酸化の程度を減少させたが,アスコルビン酸はむしろ脂質の過酸化を促進した.
- 社団法人日本獣医学会の論文
著者
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遠藤 大二
酪農学園大学獣医内科学放射線獣医学教室
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林 正信
酪農学園大学獣医学部獣医学科獣医放射線生物学ユニット
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荒井 惣一郎
酪農学園大学獣医学部放射線獣医学教室
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伊藤 晴朗
酪農学園大学獣医学部放射線獣医学教室
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神田 智司
酪農学園大学獣医学部放射線獣医学教室
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遠藤 大二
酪農学園大学獣医学部獣医学科獣医放射線生物学ユニット
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遠藤 大二
酪農学園大学 放射線
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荒井 惣一郎
酪農学園大学放射線獣医学教室
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Endoh D
Rakuno Gakuen Univ. Hokkaido Jpn
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遠藤 大二
酪農学園大 獣医
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林 正信
酪農学園大学獣医学部
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