顔の再認における視点依存の左右非対称性 : virtual viewの観点から
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概要
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本研究の顔の再認実験では, 被験者は2枚のほぼ連続提示される顔画像に対して, 同じ人物か違う人物かの人物同定判断(same-different)課題を行った. 3Dスキャナによって顔モデルの頭部のデータを収集し, テクスチャ情報を排除して陰影情報だけに限られた顔を刺激として用いた. 顔の再認における視点依存性を調べるため, 左右90°横顔, 左右45°斜め顔, 正面顔の五つのview(観察者からの見え)の画像を刺激とした. 但し, 顔の微妙な左右非対称性が再認時に及ぼす影響を排除するため, 右45°, 右90°の画像にはそれぞれ左45°, 左90°の画像をX軸反転させたものを用いている. 過去の研究により, 顔の再認率は学習時の顔のviewに影響を受けるものであるということがほぼ確認されてきた. 一般には斜め顔が他のviewからの顔よりも優位に再認できるといわれているが, 斜め顔を学習した場合には左右対称なvirtual viewとよばれる新奇なview, 若しくは学習時のviewの鏡映像イメージを生成することにより, 再認時に利用しているのではないかという示唆がある. 本研究の実験により, 学習した顔が左45°のviewであった場合は, 右45°を学習するよりも左右対称なviewを生成し, 再認に利用しやすいという, 認識過程の左右非対称性があることが明らかになった.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1997-08-25
著者
-
加藤 隆
関西大
-
加藤 隆
関西大学総合情報学部
-
蒲池 みゆき
九州大学大学院文学研究科
-
赤松 茂
(株)エイ・ティ・アール人間情報通信研究所
-
蒲池 みゆき
工学院大学情報学部
-
Kamachi Miyuki
Faculty Of Informatics Kogakuin University
-
Kato T
Atr Human Information Processing Research Laboratories
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