顔の年齢推定に関する心理学的検討 : 評定者年齢による推定特性の違いを中心に(ヒューマンコミュニケーション)

概要

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本研究の目的は,顔画像からその人の年齢を推定するときの正確さや誤推定の傾向について,評定者の年齢差に依存した相違を系統的に検証することであった.若年層(6〜18歳),青年層(20〜39歳),壮年層(40〜59歳),高齢層(70〜78歳)の四つの年齢層の計192名の評定者が年齢推定の心理実験に参加し,5歳刻みのカテゴリーを用いて,液晶面面に提示された顔画像からその人物の年齢を判断した.収集された心理データについて,主に年齢推定の量的変化(誤推定の程度)や質的変化(誤推定の方向性)に着目して分析した.その結果,若年層と高齢層評定者の推定結果に比べ,青年層と壮年層評定者で実年齢からの絶対的な推定誤差の程度が小さくより正確に年齢推定していた.また,誤推定の方向性については,全評定者年齢層において同程度の頻度で,実年齢よりも高く年齢が誤推定される傾向にあった.更に,両眼間の距離と口までの距離の物理的比率と推定年齢の関係を分析すると,その物理比率にある程度依存して年齢が推定されていたことが示された.これらの結果を総合して,評定者の年齢差に依存した顔の年齢推定特性の相違を心理学的観点から考察した.
社団法人電子情報通信学会の論文
2006-11-01