"偽りの記憶"における認知的・感性的バイアス(「感性情報処理の基礎と応用」並びにヒューマン情報処理一般)(感性情報処理(2))
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概要
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人は実際には体験していないことを以前に体験したものであるかのように"思い出す"ことがある.こうした"偽りの記憶"の1つに記憶結合エラーと呼ばれるものがある.これは,テスト時に初めて呈示される項目が学習時に呈示された項目の部分から構成されている(すなわち,結合項目である)場合に,学習時に呈示された項目であると誤って認識される可能性が高くなることをいう.本研究では,2つの日常的な音から構成される音情景を実験刺激として,記憶結合エラーにおける呈示項目の妥当性および情動性の効果を検討した.実験の結果,学習段階で呈示された元の音情景の妥当性にかかわらず,新奇結合項目としてテスト段階で呈示される音情景の妥当性が高い場合に記憶結合エラーが起こりやすいことがわかった.また,統計的有意水準には達しなかったが,新奇結合項目の情動性が高い場合に記憶結合エラーの発生率が高くなるという傾向も示された.すなわち,記憶結合エラーの生起は,構成要素を事前に別の形で体験したかどうかという客観事実だけで決定されるのではなく,新たな結合がたまたま妥当性あるいは情動性をもつかどうかによっても影響を受けることが示された.
- 2003-12-11
著者
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