大学生の魚介類嗜好と食生活
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概要
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若い世代の魚食嗜好に関連する要因を把握し,魚離れの食行動を見直すことを目的に奈良県内の大学,短期大学の2回生を対象に,1999年4月〜5月に魚介類に関する食嗜好調査を実施した。得られた結果は次の通りである。1)魚介類が「大好き」と答えた学生は29.1%,「好き」は40.8%で,「大好き・好き」は69.9%を占めた。魚介類が「嫌い・大嫌い」な学生は5.6%と少なかった。魚介類の嗜好には,性別による違いはみられなかったが,母親の嗜好は大きく影響していた(p<0.001)。2)肉類が「大好き」な学生は25.8%,「好き」は47.3%で,「大好き・好き」は73.1%であった。肉類が「嫌い・大嫌い」は2.0%であった。肉類の嗜好も性別による有意な差はみられなかったが,男子に嫌いと答えた人はいなかった。3)魚介類を好きになった時期は「幼稚園以下」が最も多く(42.7%),次いで「小学校低学年」(24.9%)であった。嗜好別にみると,「大好き」なグループでは,好きになった時期が「幼稚園以下」と答えた人は54.8%であった。4)魚介類が夕食で摂取される頻度は「週に3〜4回」以上が50.5%であった。魚介類の摂取頻度は性別や魚介類の嗜好別で違いがみられた(各々p<0.001)。5)肉類が夕食で摂取される頻度は「週に3〜4回」以上が62.5%であった。6)魚介類の好きな調理法は,焼く(27.3%),生(22.3%),煮る,揚げる,汁物の順であった。家でよく食べる調理法は焼く(32.9%),煮る(25.6%),生(20.5%),揚げる,汁物であった。好きな調理法は魚介類の嗜好別で違いがみられ(p<0.001),魚が「大好き」な人は調理法の種類に偏りが少なく,どの調理法も好んでいた。7)好きな魚介類は,サケ・マス(34.9%),エビ(28.6%),サンマ(23.3%),マグロ(22.5%)であり,よく食べる魚介類はサバ(50.4%),サケ・マス(45.3%),サンマ(29.9%),ブリ(29.4%),エビ(29.1%)であった。好きな魚介類,よく食べる魚介類は,性別で違いがみられた(各々p<0.001)。8)魚介類が好きな人ほど,好きな魚やよく食べる魚の種類が多かった。9)魚離れをくいとめるためには,幼稚園以下の幼い頃から魚介類を食べる習慣をつけ,母親がいろいろな魚や調理法を用いて魚料理を作ってやること,おいしく楽しい食体験の積み重ね,親子がそろって魚が「大好き」という味覚教育が大切である。
- 2004-05-20
著者
-
志垣 瞳
帝塚山大学
-
池内 ますみ
奈良佐保短大
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花崎 憲子
夙川学院短期大学
-
花崎 憲子
奈良女子大学
-
花崎 憲子
武庫川女子大学
-
花崎 憲子
夙川短期大学
-
志垣 瞳
帝塚山大学短大部
-
小西 冨美子
帝塚山大学
-
池内 ますみ
奈良佐保短期大学
-
小西 登美子
帝塚山短期大学
-
小西 冨子
帝塚山短大
-
花崎 憲子
武庫川女大
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