カキ樹の生理生態学的研究(第 1 報) : 枝梢, 果実および根群の年生長周期について(農学部門)
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概要
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栽培環境に対応するカキの生理生態的特性を明らかにする目的のために, その基礎的資料として, 成木の新梢, 果実および根群の年生長周期を調査したが, その結果はつぎのとおりである。1.新梢の発育は3月下旬∿4月上旬のほう芽展葉に始まり, 5月上, 中旬にその伸長はもっとも旺盛となるが, 6月中旬にはほとんど伸長を停止する。気温との関係は10∿12℃でほう芽が始まり, 18∿21℃で伸長の最盛期にあたる。2.果実の発育は開花後急速に肥大を始め, その発育は7月下旬まで旺盛であるが, 8月上旬ごろより9月上旬ごろまで一時停滞し, 9月中旬以後ふたたび盛んに生長する。果径については, 横径, 縦径とも同じような生長の傾向を示し, 成熟期に入って縦径に比べて横径がやや増大する傾向がある。果重の増加は, 果径発育と似た曲線を示し, 7月下旬までの増加はいちじるしく, 8月上旬∿9月上旬にかけて一時緩慢となり, 9月中旬以降はふたたびいちじるしく増加する。3.根の発育はほぼ2波相がみられ, 活動開始期5月中旬, 第1波相は6月中旬∿7月中旬, 一時休止期は8月上旬, 第2波相は8月中, 下旬, 活動終止期は11月上, 中旬である。土層の深さによってみると, 60∿90cmの活動開始期が0∿60cmに比べてややおくれ, 終了期は深さに関係なく停止する。4.根の活動と地温との関係については, 活動開始期13∿15℃, 最盛期(第1波相)22∿24℃, 夏期休止期24∿26℃, 盛期(第2波相)21∿24℃, 終止期は12∿15℃前後で, 伸長最適地温は21∿24℃, 活動を抑制する地温は25∿26℃以上, 終了する地温は10∿11℃前後である。5.土壌含水量と根群の生長との関係では, 20∿30%(対乾土重%)の範囲では明らかな傾向を認めることができなかった。
- 京都府立大学の論文
- 1964-09-01
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