カキ富有の胚のう形成と受精過程が種子形成に及ぼす影響
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概要
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カキ富有の胚のう形成や受精の過程を調査し, 樹体間の種子形成の変動が種子形成のどの過程に起因しているかを明らかにしようとした.1.胞原細胞は開花3週間前にみられ, その後胚のう母細胞となり, 開花約2週間前から減数分裂が始まって胚のう細胞を形成した. 胚のう内の核は分裂して8核となり, 反足細胞が退化消失して開花前に胚のうは完成した.<BR>2.いくつかの胚のう異常が観察された. すなわち,胚のうを形成していないか複数の胚のうが形成されたもの, 胚のう内の核数が正常なものと異なるもの, 核の形態が異常で, ある程度発育した胚のうが退化したと思われるものなどであった.<BR>3.花粉管は珠孔部に到達するのに24時間以上を要したが, 珠孔部に到達する花粉管数は極めて少なかった.<BR>4.受精は受粉1日後には認められず, 受粉2,3日後にほぼ完了した. 不受精胚のうは開花7日後ころから退化消失し始め, 珠心組織の内壁が接合した.<BR>5.新梢伸長の旺盛な結果枝では胚のう母細胞の減数分裂が早い時期から始まり, 胚のうの発育は促進されたが, 開花期における胚のう異常の割合や種子数には, 結果枝長の違いによる差異が認められなかった.<BR>6.種子形成の優れたカキ樹では胚のう異常の発生が少なく, 種子形成の劣るものでは多かった. 正常胚のうに対する受精率は両樹ともほぼ同程度であった.<BR>これらの結果から, カキ富有における樹体間の種子形成の変動は胚のう異常の出現割合に起因していると考えられた.
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