カキ果実の発育に関する研究 (第2報) : 平核無の種子の発育不全につして
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概要
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カキ平核無果実の種子の発育不全にいたる過程を明らかにするため, 種子形成力の強い富有と対比しながら, 開花前のはい珠の形態ならびに種子の発育について, 1969年より1971年にわたり組織学的に比較検討した.1. 平核無のはいのう形成過程は富有と変わりなく, 開花前18〜15日ころには珠心部ではいのう母細胞が形成された. その後生長が進んで, 開花前3〜2日ころには1卵細胞, 2助細胞, 2極核および3反足細胞を備えたはいのうが完成した.2. 開花時におけるはい珠の状態について調べたところ, 卵細胞および極核の未分化はいのうをもつ不完全はい珠が平核無では約50%, 富有では約20%存在することが認められた.3. 両品種とも完全なはい珠では, 受精後6〜8日ころに遊離核分裂がはじまり, 遊離核はい乳は10数個まで発達して, 直ちに膜形成がはじまることが明らかとなつた. しかし, 平核無では一部のものははい乳細胞の形成初期においてすでに異常が認められ, さらに大部分のものははい乳細胞の分裂異常によりはい乳は崩壊した. これらのはい乳組織の異常, 崩壊が原因となつて, その後のはいの発育が阻害停止するように思われた.4. 平核無のはいは球状あるいはハート形まで生長するものが認められた. これらのはいを受粉後6〜10週めに取り出し, 組織培養した結果, 受精はいにもとずく単一な幼植物個体が得られた.5. 以上の結果から, 平核無の種子の発育不全は, 不完全なはい珠が多数存在すること, およびはい乳細胞の形成初期の異常, さらにははい乳細胞の分裂異常によるはい乳組織の崩壊がおもな原因であるように思われる.
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