Alprazolam および代謝産物の行動薬理学的・脳波学的研究
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概要
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マウス,ラット,ウサギを用いて alprazolam の行動薬理ならびに脳波作用を diazepam,lorazepam および nitrazepam のそれと比較した.1)open-field におけるマウスの自発運動は alprazolam の低,中等量で増加した.nitrazepam も類似の作用を示したが,diazepam,lorazepam にはかかる作用はなかった。alprazolam,nitrazepam のこの作用は1週間の連続投与によって消失した.2)methamphetamine の自発運動増加作用は alprazolam,diazepam,lorazepam によって増強されたが,alprazolam の作用が最も強力であった.3)ラットにおける抗 conflict 作用は alprazolam が最も強く,ついで diazepam,lorazepam の順であった.4)嗅球摘出ラットの情動過多および muricide に対する alprazolam の抑制作用は lorazepam とほぼ同程度で,diazepam より強かった.5)raphe 破壊ラットの muricide に対しては alprazolam がとくに強い抑制作用を示した.6)alprazolam,diazepam は単独投与ではマウスで head-twitch を誘発しなかったが,nitrazepam はこれを誘発した.mescaline による head-twitch は3薬物いずれによっても増強され,この作用は alprazolam が最も強力であった.5-HTPによる head-twitch 発現は alprazolam,nitrazepam によって影響されなかったが,diazepam により抑制された.7)alprazolam は diazepam や lorazepam と同様にマウスの最大電撃および pentetrazol けいれんを抑制したが,後者に対する作用がより強かった.8)マウスにおける alprazolam の thiopental,etherおよび ethanol 麻酔増強作用は diazepam よりはるかに強く,lorazepam よりやや強かった.9)rotarod 法による alprazolam の協調運動障害作用はマウスでは diazepam,lorazepam より強かったが,ラットでは lorazepam よりはるかに弱く,diazepam より少し強かった.10)マウスの inclined screen 法における alprazolam の筋弛緩作用は diazepam や lorazepam より少し強い程度であった.11)alprazolam は慢性電極植込みウサギの脳波を徐波化させ,音刺激や中脳網様体刺激による脳波覚醒反応を抑制し,また大脳辺縁系後発射も抑制した.これらの作用は diazepam の約2倍強力であった.光誘起反応は alprazolam,diazepam によって全く影響されなかった。12)alprazolam の主代謝産物のうち,α-hydroxyalprazolam 体は alprazolam の1/2〜1/3の薬理活性を示したが,5-chloro-2-(3-hydromethyl-5-methyl-4H-1,2,4-triazolo4-yl)benzophenone 体はほとんど作用がなかった.以上,alprazolam は質的には diazepam や lorazepam に類似した行動薬理学的,脳波学的作用を有するが,その作用は全般的に diazepam よりも強力であり,lorazepam と同程度である.また特に脳内セロトニン系に対して特異な作用を有する薬物のように考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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山本 経之
九州大学薬学部理学教室
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山本 経之
九州大学薬学部薬理学教室
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植木 昭和
九州大学薬学部 薬品作用学教室
-
植木 昭和
九大薬品作用
-
植木 昭和
福岡大学薬学部応用薬理学教室
-
植木 昭和
九州大学薬学部
-
渡辺 繁紀
九州大学薬学部薬理学教室
-
山本 経之
九州大学薬学研究院
-
片岡 泰文
九州大学薬学部薬理学教室
-
柴田 和彦
九州大学薬学部薬理学教室
-
太田 尚
九州大学薬学部薬理学教室
-
劉 世玉
九州大学薬学部薬理学教室
-
SUWANDI Danny
九州大学薬学部薬理学教室
-
高野 正子
九州大学薬学部薬理学教室
-
田添 直衛
九州大学薬学部薬理学教室
-
柴川 重信
九州大学薬学部薬理学教室
-
川原 公規
九州大学薬学部薬理学教室
-
中西 博
九州大学薬学部薬理学教室
-
李 順〓
九州大学薬学部薬理学教室
-
渡辺 繁紀
九州大学薬学部薬品作用学教室
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