Flutoprazepam(KB-509)およびその代謝産物の行動薬理学的研究
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概要
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マウス,ラットを用いてKB-509およびその代謝産物の行動薬理学的作用をdiazepamのそれと比較した.これらの薬物は0.5%CMCに懸濁して経口投与した.1)Animex testにおけるマウスの自発運動はKB-509およびdiazepamの比較的高用量で抑制された.2)ラットにおけるKB-509の抗conflict作用はdiazepamと同程度であったが,diazepamが50mg/kgの投与で安全期のレバー押しを有意に抑制したのに対して,KB-509は100mg/kgの投与でも安全期のレバー押しには何ら影響を与えなかった.3)KB-509はshuttle boxにおけるラットの条件回避反応を1000mg/kgというきわめて大量ではじめて抑制した.KB-509のこの作用はdiazepamの約1/10と非常に弱いものであった.4)マウスのfootshock-induced fightingはKB-509によって著明に抑制され,KB-509はdiazepamの約8倍も強力であった.5)KB-509の嗅球摘出ラットの情動過多抑制作用はdiazepamよりも強力であったが,muricide抑制作用はdiazepamよりも弱かった.6)KB-509はdiazepamと同様にマウスの最大電撃およびpentetrazolけいれんを抑制したが,後者に対する作用がより強かった.またKB-509およびdiazepamはマウスのstrychnineけいれんも抑制した.7)マウスにおけるKB-509のbarbital麻酔増強作用はdiazepamの約2.6倍強力であった.8)マウスのrotarod法におけるKB-509の協調運動障害作用はdiazepamよりも少し強い程度であった.9)マウスのtraction test法におけるKB-509の筋弛緩作用はdiazepamより強力であった.10)KB-509の代謝産物であるdesalkyl-KB-509の作用は全般的にKB-509より強力であったが,desalkyl-3-OH-KB-509はKB-509とほぼ同程度の強さであった.以上,KB-509は質的にはdiazepamに類似した行動薬理学的作用を有し,その作用は全般的にdiazepamより少しく強い程度であるが,作用持続の長い点が特徴である.
著者
-
山本 経之
九州大学薬学部理学教室
-
洲加本 孝幸
鐘紡株式会社 薬品創薬研究所
-
植木 昭和
九州大学薬学部 薬品作用学教室
-
植木 昭和
九大薬品作用
-
植木 昭和
福岡大学薬学部応用薬理学教室
-
植木 昭和
九州大学薬学部
-
柴田 重信
九州大学薬学部薬理学教室
-
渡辺 繁紀
九州大学薬学部薬理学教室
-
山本 経之
九州大学薬学研究院
-
片岡 泰文
九州大学薬学部薬理学教室
-
柴田 和彦
九州大学薬学部薬理学教室
-
佐藤 陽子
九州大学薬学部薬理学教室
-
SUWANDI Danny
九州大学薬学部薬理学教室
-
高野 正子
九州大学薬学部薬理学教室
-
渡辺 繁紀
九州大学薬学部薬品作用学教室
-
柴田 重信
早稲田大学
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