Hydroxyzine Hydrochloride(Atarax)についての脳波学的研究
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概要
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慢性電極植込ウサギを用い,行動観察と同時に脳波を測定し,hydroxyzineの脳波作用をdiazepam,chlorpromazineのそれと比較検討した.1)Hydroxyzine2〜5mg/kgの用量ではdiazepam,chlorpromazineと同様に鎮静作用を示すが,10〜15mg/kgの大量では投与初期に被刺激性の増大を示した後,鎮静をおこす.脳波は小量投与でも大量投与でも皮質,扁桃核では高電圧徐波化し,海馬覚醒波の同期はくずれdrowsypatternになる.この脳波の変化は大量投与初期に動物が興奮症状を示している時期でも同じであった.Diazepamおよびchlorpormazineは鎮静状態に一致して脳波もdrowsy patternになるがdiazepamの場合は徐波に速波が重畳する点が特徴であった.2)音刺激による脳波覚醒反応はhydroxyzineによって著明に抑制された.Diazepam,chlorpromazineの作用も同様であった.3)中脳網様体,後部視床下部および視床内側中心核刺激による脳波覚醒反応はhydroxyzineおよびdiazepamによってすべて抑制されるが,中脳網様体刺激による脳波覚醒反応だけはchlorpromazineによって抑制されなかった.4)漸増反応(recruitingresponse)はhydroxyzine,chlorpromazineによって軽度に増強され,diazepamではむしろ抑制の傾向を示した.5)閃光刺激によって後頭葉皮質に誘発される電位(photic driving response)はhydroxyzineによって軽度に抑制されたが,diazepam,chlorpromazineではほとんど影響されなかった.6)海馬,扁桃核の刺激による後発射(afterdischarge)はhydroxyzine2〜5mg/kgの用量では増強,10〜15mg/kgでは逆に抑制された.Diazepamはafterdischargeを著明に抑制し,chlorpromazineは逆にこれを増強した.7)以上,hydroxyzineの脳波作用はdiazepamに類似した点が多いが,大脳辺縁系のafterdischargeに対する作用はむしろchlorpromazineに似たところがあり,てんかんなどのけいれん性疾患またはこれらの既往歴のある患者に対して本剤を用いる場合は慎重な観察のもとに投与することが必要であると考えられる.
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