構造分析を加えた牧草の組成および栄養価研究 : III.赤クローバーを用い三大部分に分けた場合の生物価測定ならびに動物試験成績
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概要
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(1) 赤クローバーを,第一報1)に述べた方法によつて,三大部分(繊維部,濃厚部,水溶部)に分割し,これをそれぞれ乾燥し,白鼠を用いて,消化率ならびに生物価の測定を行なつた.(2) 分離した牧草三大部分の組成は,前報告に類似したが,大量生産方式をとつたので,多少他の部を混ずるものがあつた.しかし繊維部は蛋白質16%(風乾物中),濃厚部は蛋白質38%,水溶部は蛋白質14%を含み,濃厚部に蛋白質が集中した.(3) 牧草繊維部(風乾物)を30%添加し,蛋白質含量5%繊維含量10%として白鼠を飼つた成績によると,牧草繊維部の滴化率は46%,純消化率54%,生物価は12.6%という低い数が得られた.(4) 牧草濃厚部(風乾物)を26.5%添加し,蛋白質含量10%,繊維含量5%として白鼠を飼つた成績によると,牧草濃厚部の消化率は約50%,純消化率は55%,生物価46%なる数値が得られ,繊維部よりも高い生物価が示された.(5) 牧草水溶部(風乾物)も同様にして35.6%添加し,蛋白質含量5%,繊維含量10%と育て白鼠を飼つた成績によると,動物は下痢を起こして死亡し(給与後3〜7日),消化率および生物価の測定ができなかつた.したがつて牧草水溶部のみを単独に添加して人工飼料を調製しても,白鼠の体重は維持できず,白鼠に毒性を示すことが判明した.(6) 以上により,牧草を三大部分に分割して動物に給与すると,いずれも栄養価は低下し,その生物価は牧草全体を給与した場合よりも著しく減少するという成績を示した.これは牧草の三大部分を分割して後,各部分を「風乾」して給与したためか,あるいは牧草の分割そのものが栄養上の障害を起こすためか,まだその原因は不明である.この点,新しい実験と説明を要する.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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