構造分析を加えた牧草の組成研究 : I牧草の一般組成及び植物色素の三大部分に分かれて出る状況について
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概要
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1. 牧草の組成を新しい角度から研究するため,生草を,まずWaring blendor(一分間12,000回転以上)を用いて磨砕し,繊維部を分けた。汁液をきらに遠心分離器を用いて沈濂と透明液に分け前者を濃厚部,後者を水溶部と名づた。これらの各部(繊維部,濃厚部,水溶部の三大部)に現われる牧草成分の分布を追跡したが三大部分中,濃厚部は牧草中最も重要な部分(主としてChloroplastより成る)と見なした。2. 実験に供した牧草はKentucky 31 Fescue(禾本科)とWhite Clover(荳科)の2種であつて,一般組成は次の通りである。3. 牧草固形物が三大部分に出る割合は,牧草によつて大いに異なり,Fescueは固形物の64%を繊維部に出しているが,Cloverは35%しか出さない。Cloverは水溶部及び濃厚部に相当多量の固形物を出している。4. 牧草窒素成分が三大部分に出る割合は,両種の牧草の閲に余り差はない。即ち窒素成分の41〜45%が濃厚部に出ている。この濃厚部は窒素含量の甚だ多いもので粗蛋白としていずれも62%(固形物中)を含んでいた。COMARがホーvンソウから分離したChloroplastより蛋白含量が多かつた。5. 牧草脂肪が三大部分に出る割合は,牧草によつて多少異なる。Fescueは粗脂肪の半分を濃厚部に出すが,Cloverの方は25%しか出きない。その代り繊維部の方の脂肪を30%も出していた。6. 牧草灰分が三大部分に出る割合は両種の牧草で良く似ていて,糧灰分の70〜78%がいずれも水溶藻に出ている。繊維部がこれに次ぎ,濃厚部にはわずかに4.4〜4.7%しか出なかつた.即ら牧草の粗灰分は過半以上水溶性であることは注目すべき知見とする。7. 牧草中のPlantPigments(ChlorophyllとCa-rotenoids)は,大半は濃厚部に出た。FescueとCloverの異なる点は,Clover方が繊維部にChlorophyllを比較的多量残したことである。濃厚部のPlantPigments含量も,FescueとCloverとで多少異なつていた。8. 両牧草から分離した三大部分の組成は,21表に載せてある。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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