構造分析を加えた牧草の組成研究 : II 無機成分が三大部分に分かれて出る状況について
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概要
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1) 生の牧草を, 第一報に述べた方法によつて, 三大部分 (繊維部, 濃厚部, 水溶部) に分けて, 牧草の無機物の分布状態を調べた。<BR>2) 三大部分の無機物の構成は, 夫々全く異なつたものであることがまず指摘された。即ち繊維部の灰分は珪酸量が著しく多く, 水溶部の灰分はK<SUB>2</SUB>O量が著しく多く, 濃厚部の灰分はFe<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>, P<SUB>2</SUB>O<SUB>5</SUB>, MgOの三者が中心をなすことが判つた。なお水溶部は他の二部と異なり, 灰分そのものが非常に多かつた。<BR>2) 無機成分の分布を調べた結果, 個々の無機物は著しくかたよつて存在することを知つた。<BR>a) K<SUB>2</SUB>Oは92〜94%が水溶部に存在した。<BR>b) Na<SUB>2</SUB>Oも85〜91%が水溶部に存在した。<BR>c) CaOも大半 (52〜81%) は水溶部に存在した。しかし残部のCaOは, 禾本科と荳科と状態を異にした。即ち繊維部に残されたCaOは, Fescueでは42%であるのに対し, Cloverでは16%に過ぎなかつた。<BR>d) MgOも大部分 (83〜89%) は水溶部に存在した。しかしCaOと異なり, MgOは繊維部にはほとんどなく, 濃厚部に10%前後残された。<BR>e) Fe<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>は大部分 (92〜95%) が濃厚部に存在した。<BR>f) P<SUB>2</SUB>O<SUB>5</SUB>, CI, SO<SUB>3</SUB>の如き酸基の大部分 (夫々85〜89%, 91〜96%, 81〜89%) は水溶部に存在した。<BR>g) SiO<SUB>2</SUB>は大部分 (94〜97%) が繊維部に存在した。<BR>h) N<SUB>2</SUB>O<SUB>5</SUB>は大部分水溶部に出るが, なお相当量 (15〜31%) は濃厚部に残してあつた。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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