液体クラスターイオンビームによるSi基板表面照射効果(<特集>シリコン関連材料の作製と評価)

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エタノールなどの液体有機分子のクラスターを生成できる液体クラスターイオンビーム装置を開発した。本装置を用いてエタノールクラスターと基板原子との相互作用を調べるために、種々のエネルギーでエタノールクラスターイオンをSi基板およびSiO_2薄膜に照射した。スパッタ深さは、加速電圧が上昇するにつれて増大し、加速電圧が9kvの場合、ビーズ量が1×10^<16>ions-cm^<-2>でのSiおよびSiO_2のスパッタ深さは、それぞれ344.6nmおよび47.2nmであった。エタノールクラスターイオンビームによるSiのスパッタ率は、Arモノマーイオンビームの約100倍高かった。また、SiO_2のスパッタ率に対するSiのスパッタ率の比は、加速電圧が低下するにつれて高くなり、選択スパッタが生じていることが分かった。これは、エタノールとSiとの間で化学反応が起こり、Siの主たるエッチング材料であるSiの水素化物が生成したためと考えられる。また、エタノールクラスターイオンによりスパッタされたSiの表面粗さは、1nm以下であった。さらに、RBSおよびエリプソメーター測定結果から、エタノールクラスターイオンの照射によりSiに生じた損傷は、Arモノマーイオンの損傷よりも小さかった。以上より、エタノールクラスターイオンにより高速スパッタされたSi基板は原子レベルで平坦な低損傷の衷面を有することが分かった。
社団法人電子情報通信学会の論文
2004-12-09

液体クラスターイオンビームによるSi基板表面照射効果(<特集>シリコン関連材料の作製と評価)

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