中国語表層構造の特徴を利用した中日機械翻訳手法

概要

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社会の国際化が急速に進むにつれて, 国際間における産業情報・技術情報・文化情報の流通は増大しているのもかかわらず, 翻訳者の数は世界的にも不足傾向にあり, この需給ギャップを埋めるものとして機械翻訳に対するニーズが高まってきている。現在, 日本全体での翻訳の需要は年間数千億円に達すると言われている。また, この量は年々増加している。また潜在的な翻訳需要は, 翻訳のコストを考慮しなければ, 数倍にもなると予想されている。中国でも, 改革・開放の急速に進むにつれて, 翻訳の量がますます増している。このようなニーズに応えるため, 前述のように, ここ数年の間に機械翻訳システムの商用化が急速に進められてきている。特に, 近年のコンピュータ分野の技術進歩は著しいものがあり, 半導体技術に代表されるハードウェア技術とこれを支えるソフトウェア技術の進歩により, 大規模かつ高速演算が可能となった。また, 処理速度の工場とならんで, 人工知能の研究の進展が自然言語の取り扱いを容易にさせている。このような情報処理の技術基盤が強化されるにしたがって, ある程度の機械翻訳が可能となり, そしてその実用化が進められてきているところである。従って, 翻訳は本来, ただ単に1つの言語で表現された文章を別の言語による表明に置き換えるといった単純な技巧で形式的に行われるものではない。すなわち, 翻訳は人類のあらゆる文化的産物を背景にして, 人間のもつ知識と知能を駆使して行われる。従って, 機械翻訳システムの究極的な姿は, いわゆる人工知能技術を統合した給合的システムということになる。そのような理想的な機械翻訳システムに近づくには, まだまだ遠い道のりがある。機械翻訳の現状では,構文構造の複雑さ, 表層形と意味の対応の複雑さ, 原言語と目的言語の表現方法の隔たりなどが原因で, 正しい翻訳結果が得られないことが多い。また, 日本でも中国でも英語を主要な対象とした機械翻訳の研究。開発が多いが, 中日両言語間の機械翻訳に関する本格的な研究が開始されたばかりであり, 英日・英中言語間の機械翻訳と比較すると, 未開拓の部分が極めて多い。本論文では, 中日両言語の特徴を有効に利用した中日機械翻訳手法の研究について述べる。中日機械翻訳を実現するために, 日中両言語の特徴, 特に機械翻訳の観点から両言語の表現形態を検討しなければならない。すなわち中日両言語の特徴を把握し, それに基づいて翻訳システムの構造を検討することが必要である。中国語から日本語に訳す機械翻訳なので, 一番難しいのは勿論, 中国語の解析にある。特に, 中国語の固有の特点により, いまなお中国語の解析に関する研究が十分ではない。中国語表層構造の特徴を十分に把握できなければ, 質のよい中日機械翻訳システムが構築できないと考えられる。それゆえ, 本論文では中国語の解析を中心として, 中日機械翻訳手法の研究を展開する。即ち, 本研究においては中国語表層構造の特徴を利用した中日機械翻訳アルゴリズムを開発し, システムを構築する。また, アルゴリズムの有効性を確認するための実験および結果の評価を行う。
社団法人情報処理学会の論文
1994-03-07

中国語表層構造の特徴を利用した中日機械翻訳手法

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