実例に基づく帰納的学習による機械翻訳手法における遺伝的アルゴリズムの適用とその有効性

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実用的な機械翻訳システムの実現に向け,これまで多くの研究がなされてきた.その主流となっているのが文法解析に基づく解析型の機械翻訳手法である.しかし,この手法は限定された文法規則で多様な言語現象に対処することの困難さから,良質な翻訳を十分に得られるものとはなっていない.これを解決する手法として,近年,実例や用例に基づく学習型の機械翻訳手法が研究されている.我々は,従来より実例から翻訳ルールを帰納的に学習し,翻訳を行う,帰納的学習による機械翻訳手法の提案とその評価実験を行ってきた.しかし,本手法は他の学習型の機械翻訳手法と同様に,翻訳ルールを得るために大量のデータを必要とするという問題点を有する.この問題点を解決するため,我々は以下の3点を目的に帰納的学習による機械翻訳手法への遺伝的アルゴリズムの適用を行った.(1)少量のデータから多くの翻訳ルールを得る,(2)最適な翻訳結果を高度に探索する,(3)正しいデータを与えることで良質な翻訳ルールを得る.この結果,システム全体が最適な翻訳を行うように進化し続けることが期待される.本論文では,遺伝的アルゴリズムの有効性を評価する.実験の結果,正翻訳率は52.8%から61.9%に増加し,新出語の抽出率は47.8%から75.2%に増加した.したがって,遺伝的アルゴリズムの適用が学習能力を向上させ,最適な翻訳結果の生成を可能にすることが確認された.
社団法人情報処理学会の論文
1996-08-15

実例に基づく帰納的学習による機械翻訳手法における遺伝的アルゴリズムの適用とその有効性

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