遺伝的アルゴリズムを適用した帰納的学習による機械翻訳手法の実用化に向けて

概要

論文の詳細を見る
実用的な機械翻訳システムの実現に向け、これまでに多くの翻訳手法の研究が行われている。文法解析による解析型の機械翻訳手法は、代表的な翻訳手法である。しかし、解析型の機械翻訳手法は有限個の文法規則を用いるため、多様な言語現象を持つ文章の良質な翻訳の困難さとその際の辞書の作成や改良の困難さが問題点として指摘されている。また、近年、盛んに研究されている実例や用例による学習型の機械翻訳手法では、十分な翻訳を行うために大量の学習データが必要となる。我々は従来より与えられた実例から帰納的に翻訳ルールを学習し、翻訳を行う機械翻訳手法に遺伝的アルゴリズムを適用することにより良質な翻訳を行うことを目的とした研究を行っている。その結果、与えられた少量の実例を最大限に活用した学習と翻訳が可能となったが、中学1年生レベルの翻訳であり実用的なものとはなっていない。本稿では、より実用レベルのデータを用いた実験結果に基づき、実用化に向けての遺伝的アルゴリズムを適用した帰納的学習による機械翻訳手法の有効性と問題点について考察する。
社団法人情報処理学会の論文
1995-09-20