森林の生産構造に関する研究(I) : アキニレ稚樹林における葉量の時期的変化とその乾物生産
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概要
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落葉広葉樹林分の葉量の時期的な変化をアキニレの稚樹群について, 春季の開葉開始後約3ヵ月の間追跡してみた。試料となつたアキニレ稚樹群は3年生で, 1 m^2あたり50〜250本成立しており, 高さは150〜200 cmであつた。Sample plotは0.1〜0.2 m^2でその中にある個体を全部地際から切り取り, 層別刈取法にもとづいて, 葉, 幹および枝に分けて重量を測定した。根の量は20本の資料から, D^2H(D : 地際直径H : 樹高, で植物体の大きさを示す指数として取り扱つた)との関係を求めて, 全根量を推定した。単位面積上の葉の重量または面積の時期的な変化には3段階があるようで, 第1段階は開葉開始後の葉量が急激な増加を示すときである。この段階では葉は薄く広く, また含水率は高い。非同化部分の重量増加はほとんどみられず, 重量増加は主として葉のみである。この間のNAR(純同化率)RGR(相対生長率)はそれに続く時期におけるよりも計算上高い値を示すが, これには葉の急速な重量増加が影響しているようである。こうして葉量は最大値に達するが, この時の葉量は通常の落葉樹林で測定された値の2〜3倍におよんだ。第2段階は葉量が最大値から減少する段階である。過剰になつた葉量は, 主として下層の方から枯死落葉し, かなり急速に減少する。NAR, RGRはこの期間は低下する。さらに減少度がやや緩慢となり, 葉量が一定量になる, つまり葉量が安定して来る時期が第3段階で, 葉の単位乾重あたりの面積も一定となる。NAR, RGRは上昇する傾向を示す。これに続いて, 葉量は一定の期間をつづけ, 秋に至つて落葉期に入るものと思われるが, 開葉後3ヵ月, 上述の第3段階における傾向を得るところまでの測定に終つたのは遺憾とするところである。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1960-12-25
著者
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