森林の生産構造に関する研究(VIII) : 立木密度の高いモリシマアカシヤ林の生産力
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概要
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福岡県糸島郡で、天然下種によって成立したモリシマアカシヤ4年生林(立木本数14,400本1ha)の生産力をしらべた。50m^2の標準地を設け、8本の供試木を選んで伐倒し、層別刈取法によって調査した。林分の現存量は、断面積配分法と相対生長法(図-1、2)によって推定した(表-1)。林分の葉量は常緑広葉樹林として一般的な値であった(表-2)。葉の吸光係数は0.35と算定された。純生産量は、材部の生産量を相対生長関係(図-.5)を用いて、現在と1年前の現存量差のとして求め、これに葉の寿命を2年と考えて、現存葉量の1/2を加えて、35.3t/ha年と推定した。幹止長爪も、同様に相対生長関係(図-6)を用いて、42.0m^3/ha年と求めた。単位葉量あたりの乾物生産量は、3.6t/t年、または単位葉重あたり幹材生産量(図-7)は、3.7dm^3/kgに速し、常緑広葉樹としては高能率であることが認められた。最近10年ばかりの間に、モリシマアカシヤ(Acacamollissima)の造林地は、九州地方、とくに福岡、熊本県下で急速に拡大してきた。オーストラリや原産のこの樹種の、何よりの魅力は、在来樹種のどれよりも優れた生長の速さであり、現在8〜10年生で主伐されるのが普通である。筆者たちは、すでにこの樹種の物質生産力を知るための調査を、熊本県天草島で行ない、その生産力の大きいことを確認した。この報告では、福岡県下の立木密度の高い4年生のモリシマアカシヤ林の生産力について述べたい。なお、調査にあたっては、林分所有者入江守氏、福岡県林業試験場斎城巧技師にはいろいろ便宜を与えられた。また、調査外業には、林業試験場九州支場尾方信夫室長、長友安男、上中作次郎、河津昭雄各技官の協力を得た。ともども感謝の意を表したい。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1965-11-25
著者
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