森林の生産構造に関する研究(IX) : 高立木密度の幼齢スギ林の生産力

概要

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十数種のクローンのツギキ苗で成立し, 立木密度高く生育良好な5年生のスギ林の物質生産力を熊本市郊でしらべた。4×5m^2の標準地から6本の供試本を伐倒し, 層別刈取法で調査した。現存量はTable1のとおりである。葉や枝は地上高2〜4mに集中している(Fig.1)。林冠層下の相対照度は1.1%, 葉の吸光係数は0.26(葉面積に対して)であった。林冠層より下の各層の幹の重量生長はほぼ同じである(Fig.2)。材部生長量は, 相対生長関係(Fig.3)を用いて求め, 葉の年間新生量を現存葉量の1/4として, 純生産量を29.1t/ha・年と推定した(Table2)。葉の呼吸消費量を根岸・佐藤の測定値を用いて51.5t/ha・年, 材部の呼吸消費量は単位材部重あたりの呼吸消費量を0.05t/ha・年(Fig.4)として3.5t/ha・年と推定した。したがって総生産量は84.1t/ha・年となる(Table3)。物質生産のエネルギー効率は, 総生産量に対して全年で2.8%, 生育期間内で4.2%と計算された(Table4)。
一般社団法人日本森林学会の論文
1966-02-25