森林の生産構造に関する研究(XII) : 富士山のシラビソ天然林の一次生産

概要

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富士山北斜面側の亜高山帯で, シラビソ天然林の物質一次生産量を推定した。物質生産の最高レベルを知るために, 立木密度が満度に近い3林分と付加的資料としての苗畑1ブロットをえらび, 1966年秋に伐倒調査を行なった。林分の現存量や, 林冠高には大きな違いがあっても, 林冠層内の現存量やその垂直分布にはあまり大きな違いはみられなかった。3林分の葉面積指数(片面)は8.1〜9.7に達し, 葉の吸光係数は0.34〜0.39(ha/ha)と計算された。純生産量は, その年に生産された部分の現存量の和として求めたが, 3林分で14.5〜18.6t/ha・年, 苗畑で8.4t/ha・年であった。葉と材部の呼吸消費量を概算して求められた総生産量は3林分で39〜46t/ha・年, 苗畑で16t/ha・年となった。これは, それぞれ1.8〜2.3%, 1.5%のエネルギー効率にあたる。以上から, シラピソ林の現存量増加と生産力の変化の関係を図で表現してみた。
日本森林学会の論文
1967-12-25