28年生スギ林およびヒノキ林の養分含有量
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概要
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沼津営林署管内の火山灰に由来する土壌で地形, 方位, 土壌型などの類似した28年生のスギ林とヒノキ林で, 林木の養分含有量, 生態系内での養分分布などを調べ, 2,3の考察を加えた。すなわち, (1)深さ50cmまでの土壌の中に含まれる養分量のうちNとK_2Oは土壌型, 樹種の違いによる差は認められない。P_2O_5では樹種の違いによる差は認められないが土壌型の違いで差がみられる。(2)A_0層の量は, ヒノキ林下ではスギ林下にくらべて非常に少なく, また栄養的にも劣っていた。(3)林床植生の量は, 土壌型の違いによる差が大きく, 樹種間では差が認められなかった。(4)単木の地上部の乾物重量とD^2Hの関係は, 多少のばらつきはあるが両対数直線関係が成立する。MgO含有量とD^2Hの関係は, スギとヒノキで多少分離する傾向がみられるが, その他の養分では明瞭な傾向は認められない。K_2O, CaOの含有量とD^2Hの関係は, 土壌型の違いで分離する傾向がみられた。(5)林木各部位の養分濃度を樹種別にくらべてみると, 葉のCaO濃度, 樹皮・辺材・心材・根のK_2O, CaO濃度はスギ>ヒノキの傾向がみられ, 枝のP_2O_5濃度, 葉のP_2O_5,K_2O濃度, 辺材のMgO濃度はヒノキ>スギの傾向がみられた。(6)枝葉部と幹の養分分布割合を樹種別にくらべてみると, 枝葉部へのN, P_2O_5,K_2O, CaOの分布割合はヒノキ>スギの傾向がみられた。(7)生態系内での養分分布をみると, ヒノキ林はスギ林にくらべA_0層への養分分布割合が少ない。(8)ヒノキ林はスギ林にくらべてA_0層の状態, A_1層の理化学性などからみて, 土壌悪化の傾向におかれているものと考察した。
- 日本森林学会の論文
- 1969-05-25
著者
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