落葉期におけるカラマツの葉の養分の動き

概要

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カラマツ 1-1 苗の各部位の養分含有率の変化から, 落葉期前後におけるカラマツの葉の養分の動きを考察した。 1) 落葉に近い黄化した葉の窒素, 燐酸, 加里の含有率は, 緑色葉のそれにくらべて約 40〜70% に減少していたが, 石灰の含有率はほとんど変化がなかった。このことから, 一般に窒素, 燐酸, 加里は, 落葉に際して, 葉中成分の40〜70%が葉から他の部分へ移動するが, 石灰はほとんど移動せず, 落葉に際してほとんどそのまま土壌に還元されるものと考えられる。 2) 落葉期になっても未だ枝に着生している緑色葉の窒素と燐酸の含有率は, 落葉現象の進展に伴ない減少し, 幹, 枝, 根のこれら養分含有率は顕著に増加した。しかし, 加里は窒素や燐酸とは逆に, 緑色葉中で増加し, 非緑色部分の幹, 枝, 根での増加はわずかであった。そこで, 窒素や燐酸は, 落葉期の葉の黄化前に, 緑色葉から直接幹, 枝, 根の各部に移動するが, 加里は, これと異なった動き方をするものと考えられる。
日本森林学会の論文
1964-04-25