スギ壮令木の幹の乾重量, 養分含有量, および樹皮・辺材・心材におけるこれらの配分状態について
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概要
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要旨 : 埼玉県秩父地域の, 55年生の生長の異なる3林分, 静岡県気田地域の, 48,49年生の生長の異なる3林分, および静岡県天城地域の39年生林分, すなわち3地域7林分のスギについて, 幹の乾重量, 養分含有量および, 樹皮・辺材・心材におけるそれらの配分状態をしらべた。1)調査木の年令は39〜55年生, 樹高は9〜26mの範囲にわたっていて, 幹1本あたりの乾重量は, 20kgから400kg以上まで, 樹高や胸高直径のちがいで大きく変動している。樹高と幹の乾重量との相関は, 林分や地域のちがいで異なり, 相当ばらつきがあるが, logD^2Hと幹の乾重量との相関は, 林令や地域がちがう林分がまざっているにもかかわらず, ばらつきが小さい。haあたりの幹の乾重量は, 平均樹高や平均胸高直径の大きい林分で重くなる傾向がみられる。2)幹の各部位への乾物配分割合は, 樹皮で10%前後, 辺材で50〜60%, 心材で30〜40%である。これらの乾物配分割合は, 地域や林分などで異るようである。3)幹の各部位別の養分濃度は, Nは樹皮>辺材>心材, CaOは樹皮>辺材≒心材の傾向がみられる。P_2O_5は, 明瞭な傾向がみられない。K_2Oは, NやP_2O_5と異なり心材部に高濃度に含まれ, 樹皮≒心材>辺材の傾向になっている。4)幹1本あたりの養分含有量は, logD^2Hとの間に相関の傾向が認められるが, 乾重量の場合より多少ばらつきが大きく, 地域差も認められるようである。木が大きくなるにともなう幹のK_2O含有量の増加割合は, NやP_2O_5の増加割合にくらべて大きい。幹の養分含有量は, 木の重量や養分含有率ばかりでなく, 心材率などにも大きく左右されてくる。養分含有量は, いずれの林分でもCaO>K_2O>N>P_2O_5の傾向になっている。5)幹の各部位への養分配分割合は, Nは樹皮に30〜40%, 辺材に30〜50%, 心材に20〜35%, P_2O_5は樹皮に10〜20%, 辺材に40〜60%, 心材に20〜40%であり, 両者とも辺材部への配分割合が多い傾向にあるが, K_2Oは樹皮に5〜15%, 辺材に20〜30%, 心材に40〜70%で心材部への配分が非常に多く, CaOは樹皮に25〜50%, 辺材に20〜40%, 心材に20〜30%で樹皮部への配分割合が多い。これらの養分の樹幹内における配分状態にも, 多少地域による差が認められる。
- 日本森林学会の論文
- 1966-08-25
著者
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