早期離乳仔牛における自由採食量と血液代謝像
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概要
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早期離乳の前後における仔牛の採食量調節機構について検討するため, 約1週齢のホルスタイン種雄仔牛を用い, ほぼ同様の方法で2回の試験を実施した. 試験1では18頭, 試験2では14頭をそれぞれ2区に分け, 一方には代用乳を1日1頭当り600g, 他方には300gずつ, いずれも5週間定量哺乳した. 試験開始直後からペレットの濃厚飼料とイナワラを不断給与し, 10週目まで週ごとにこれらの採食量と血液pH, および血清中のグルコース, 遊離脂肪酸 (FFA), 尿素態窒素 (BUN) の各濃度を測定した. その結果, 1) 週ごとの1日平均濃厚飼料摂取量は, 1週目の体重当り約0.1%から10週目の約3.3%まで増加したが, 特に4週目と離乳直後の2週間に著しく増加した. 2) 週ごとの1日平均イナワラ摂取量は10週間で体重の約0.05%から約0.5%まで増加したが, この場合は3週目を除いて特に著しい増加は認められなかった. 3) 哺乳中の濃厚飼料摂取量は代用乳300g/日区の方が多かったが, 離乳後のその摂取量および離乳前と後のイナワラ摂取量には区間であまり差がなかった. 4) 血液pHは, 試験1では両区とも3週末と7週末以後で増加したが, 試験2では一定の傾向が見られなかった. 5) 血糖値は試験全期間を通して300g/日において低い傾向があり, 両区とも3週末で低下したが, 離乳後には増加した. 6) FFA濃度は3週末に著しく低下し, その後は6週末まで増加したが, 7週末にも再度低下した. 7) BUN濃度は1週末が最高で, その後5週末まで減少を続けたが, 試験2では7週末にも一時増加した. 以上の結果は, 早期離乳前後における仔牛の主要な採食量調節機構として, エネルギー恒常性説を支持するものと考えられた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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