粗:濃比の異なる飼料給与時の牛における第一胃内異部位間の性状比較
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概要
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第一胃内の異なる3部位から第一胃内液を採取し,それらの化学的•微生物学的性状を比較した.すなわち,第一胃フィステル装着ホルスタイン種雌牛2頭(体重約420kgおよび500kg)を用い,前期1.5カ月間は1頭に乾草と濃厚飼料を5:1,他の1頭には1:5の割合で1日に合わせて体重の1.3%相当量を給与し,後期1.5カ月間は処理を反転した.粗飼料または濃厚飼料多給時のそれぞれにおいて第一胃内の前部(前背盲嚢前部)と後部(同後部),および底部(前腹盲嚢下部)の3カ所から,飼料給与直前と2,6時間後に第一胃内液を採取した.その結果,濃厚飼料多給時のNH3-NおよびVFA濃度は採取時間を問わず前部,底部,後部の順に増加し,pHは前部において高い傾向が認められたが,粗飼料多給時にはそのような傾向はあまり明瞭でなかった,VFA組成には飼料条件による相違は明らかに見られたが,各飼料条件において部位間の根違は認められなかった.総菌数は,濃厚飼料多給時の2時間後で後部において高かったが,粗飼料多給時には一定の傾向が認められなかった.細菌をグラム染色性と形状や大きさによって分類した場合,飼料条件による菌叢の変化はあまり明瞭でなかったが,飼料給与直前に採取•調製した細菌区分を用いて19種類の加水分解酵素の活性を比較すると,飼料間ではかなり大きな相違が認められた.しかし部位間の差は比較的小さかった.貧毛虫密度は,濃厚飼料多給時には前部,底部,後部の順に増加する傾向があったが,粗飼料多給時には一定の傾向を示さなかった.全毛虫密度は飼料条件にかかわらず,給与直前は前部で著しく高い場合がある一方,底部や後部においては2時間後に増加が認められた.原虫区分の加水分解酵素の種類や活性は,細菌区分のそれらとは明瞭に異なると同時に,飼料条件によってもかなり変化したが,部位間の差は比較的小さかった。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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入来 常徳
麻布大学獣医学部栄養学研究室
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阿部 又信
麻布大学獣医学部栄養学研究室
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入来 常徳
麻布大学獣医学部
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阿部 又信
麻布大学獣医学部分子生物学研究室
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中川 洋子
麻布大学獣医学部
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阿部 又信
麻布大学獣医学部
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