子牛における濃厚飼料と稲ワラの採食量の短期調節
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概要
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6週齢末に離乳し,濃厚飼料ペレット(市販配合飼料,CP 18%, TDN 78%)と平均長40mmに切断した稲ワラとを不断給与した10週齢(体重約90kg)のホルスタイン種雄子牛を供試した.試験前日の20:00時に飼槽から全飼料を撤去し,翌朝8:30時に15頭中5頭には前記の濃厚飼料と稲ワラ(CR区),他の5頭には濃厚飼料のみ(C区),残り5頭には稲ワラのみ(R区)を与えた.試験開始後8時間以内の固形飼料摂取量はCR,C,R区の順に体重kg当り19.3,20.5,3.9gであり,またTDN摂取量はW0.75当りそれぞれ45.4,49.4,4.7gであった.しかしながら,摂取飼料の体重比は同じ順に1.2:1.2:1となった.単位時間当りに摂取される飼料の体積で表した採食速度は全区で最初の30分間が最大であったが,その値はCR区とC区においてR区の3倍以上も高かった.また,CR区では稲ワラの採食速度は30分から1時間にかけてが最大であった.血清遊離脂肪酸濃度と血漿尿素態N濃度はCR区とC区においては飼料摂取後減少したが,R区においては増加するか,または変わらなかった.血漿総ケトン体濃度は,CR区においては飼料給与直後から増加しはじめたが,C区においてはその濃度がR区と同程度に低かった.以上の結果から,エネルギー欠乏の子牛ではエネルギーに富む飼料が優先的に摂取され,濃厚飼料を単独または稲ワラと共に給与した場合は,第一胃の容積やその充満度が採食量を制約する要因になりうると考えられた.一方,稲ワラは主として第一胃充満度を求めて摂取されるが,その摂取量には第一胃充満以外の物理学的,生理学的,あるいは栄養学的要因も関与することが示唆された.
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