子牛代用乳消化率の測定における酸化クロム標識法の信頼性と限界
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概要
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子牛に対する代用乳の給与方法が異なる場合,あるいは下痢の程度が異なるような場合に,酸化クロムを用いて測定した消化率(標識消化率)が,全糞採取法による消化率(全糞消化率)とどの程度の相関を有するかについて検討した.約1週齢で導入したホルスタイン種雄子牛12頭を4頭づつの3区に分け,そのうちのTN区に対してはタローを含有する代用乳を***哺乳し,TB区には同種の代用乳をバケツ哺乳,SN区には大豆油を含む代用乳を***哺乳した.用いた2種類の代用乳は脂肪源が異なる以外は同一組成で,いずれも酸化クロムを0.2%含有していた.子牛導入後2週間を試験期間とし,その間は代用乳以外の飼料を与えず,最終4日間の糞を全量採取して全糞消化率を求めるとともに,その一部を用いて標識消化率を測定した.その結果,下痢はSN区において最もひどく,TN区において最も軽度であり,TB区はほぼその中間であった.代用乳各成分の見掛けの消化率は,全糞採取法では個体間の変動が全区において比較的小さく,TB区の粗脂肪消化率が他の2区と比べて有意に低いことが認められた(P<0.05),しかし標識法では特にTB区において変動が大きく,したがって,全成分について平均値間の差に有意性は認められなかった.供試牛全頭をまとめて全糞消化率と標識消化率との間の相関係数(r)を求めると,乾物以外の成分については相関は有意であったが,しかしr値は全般的に低かった.一方,タロー含有代用乳を***またはバケツで給与した子牛(T群;TN区とTB区)と,代用乳は異なるがいずれも***哺乳した子牛(N群;TN区とSN区)とに分けて,それぞれrを求めたところ,N群では個体間で下痢の程度にかなりの差があったにもかかわらず,2種類の消化率の間には全成分について高い有意の相開が認められた(P<0.01).しかし哺乳方法を異にするT群においては,下痢の程度には個体間の差が比較的小さかったにもかかわらず,全ての成分において両消化率間に有意の相関は認められなかった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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阿部 又信
麻布大学獣医学部栄養学研究室
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渋井 仁志
日本配合飼料株式会社中央研究所飼料畜産開発センター
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阿部 又信
麻布大学獣医学部分子生物学研究室
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入来 常徳
日本配合飼料株式会社中央研究所
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渋井 仁志
日本配合飼料株式会社中央研究所
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