代用乳における市販脱脂大豆粉末による脱脂粉乳の代替効果:子牛の成長,消化率に及ぼす影響および血漿遊離アミノ酸濃度に基づくアミノ酸有効性の検討
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概要
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1) 実用的組成の子牛代用乳の蛋白質源として脱脂粉乳の代わりに粗蛋白質含量50-55%の脱脂大豆粉末を用いた場合の子牛の成長および消化率に与える影響を調べた.また,その際の血漿遊離アミノ酸濃度から代用乳中蛋白質のアミノ酸有効性の検討を試みた.2) 初体重約45kgのホルスタイン種雄子牛を8頭ずつ3区に分け,1区:脱脂粉乳57%およびホエーパウダー15%,2区:脱脂粉乳30%,ホエー30%および大豆粉末15%,3区:ホエー40%および大豆粉末35%を含有する代用乳を給与した.なおこれ以外にも蛋白質源としては,各区とも粗蛋白質含量32%のフィッシュソリュブル吸着飼料を10%配合した.子牛は導入後の2週間代用乳だけをバケッで定量哺乳させ,この間に各区とも3頭を用いて消化率,他の3頭を用いて血漿遊離アミノ酸濃度の測定を行った.15日以後人工乳および稲わらを不断給与し,35日間で離乳した.3) 13週間の体重,体長,体高,胸囲の発育は特に3区が劣る傾向が見られたがその差は有意ではなかった.4) 代用乳の乾物,粗蛋白質,粗繊維の見掛けの消化率は1区,2区に比べて3区が有意に低かったが,1区と2区との間には有意の差がなかった.5) 朝の給与直前の血漿遊離アミノ酸総量は1区が2区,3区に比べて有意に高く,個々のアミノ酸ではバリン,メチオニン,リジン,ロイシン,イソロイシン,アルギニン,チロシンの濃度が高かった.2区と3区の間には顕著な差を認めなかった.6) 代用乳の代わりにグルコースを給与すると,4時間後には各区とも血糖濃度の増加と血漿遊離アミノ酸総量の減少を見た.必須アミノ酸についてそれぞれグルコース投与前後の血糖濃度比(PAAI)を求めると,投与後1区:リジン,2区:イソロイシン.3区:イソロイシンの減少が最大であった.7) 成長試験とは別に体重約45kgのホルスタイン種雄子牛3頭を用い,全乳だけをゴム***を用いて給与して14日目朝の給与直前に血漿遊離アミノ酸濃度を測定した.全乳給与時に対する各代用乳給与時の必須アミノ酸の血漿濃度比(PAARI)を求めると,1区:メチニオン,2区:メチオニン,3区:メチオニンおよびリジンの比が最小であった.8) 制限アミノ酸の検索にはPAAI法よりもPAARI法の方が適切であると考えられ,その結果,脱脂粉乳57%およびホエーパウダー15%を含む代用乳においてはメチオニンが最も制限になり易く,大豆粉末使用量の増加とともにリジンもまた強い制限アミノ酸になる可能性が示された.
著者
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入来 常徳
日本配合飼料株式会社中央研究所
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阿部 又信
日本配合飼料株式会社中央研究所
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近藤 啓一
日本配合飼料株式会社中央研究所
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阿部 又信
日本配合飼料(株)中央研究所
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河井 武則
日本配合飼料(株)中央研究所
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河井 武則
日本配合飼料株式会社中央研究所
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