尿素を主要窒素源とする半精製飼料給与時の子牛に対するホルマリン処理魚粉の補給が血漿遊離アミノ酸濃度に及ぼす影響
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概要
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1. 尿素を単一窒素(N)源とする精製飼料にホルマリン処理魚粉(FFM)を添加した場合の子牛の成長,および血漿遊離アミノ酸濃度に及ぼす影響を調べた.2. 平均初体重155kgのホルスタイン種雄子牛12頭を3頭づつの4区に分けて供試した.1区には尿素を単一N源とする精製濃厚飼料(基礎飼料)を給与し,2,3,4区には基礎飼料1kgあたりFFMをそれぞれ40,80および160g添加した濃厚飼料を給与した.供試牛には各試験飼料と稲わらおよび水を3週間不断給与し,最終日に血漿遊離アミノ酸濃度を測定した.3. 増体および飼料の効率は基礎飼料に対するFFMの添加によって漸次改善され,3,4区は1区よりも有意に高かった(P<.05)が,3区と4区との間には有意の差がなかった.飼料摂取量には全区有意差がなかった.4. 非必須アミノ酸総量に対する必須アミノ酸総量の比は4区において有意に高かった(P<.05).FFM添加量の増加とともに血漿グリシン濃度が減少し,側鎖アミノ酸(バリン,ロイシン,イソロイシン)の合計量は増加する傾向があった.その結果,側鎖アミノ酸合計に対するグリシンの濃度比は4区において1,2区よりも有意に低下した(P<.05).5. 必須アミノ酸中,リジンとロイシンの血漿濃度は3,4区において1区よりも有意に高く(P<.05),逆にスレオニンは3,4区において有意に低かった(P<.05).メチオニン濃度には有意の変動は見られなかったが,含硫アミノ酸(メチオニン,シスチン)合計量は3,4区において有意に高くなった(P<.05).6. これらの結果は,第一胃内で合成される微生物蛋白質中のリジン,ロイシンおよび恐らくは含硫アミノ酸の不足が子牛の成長に対して最も制限になるであろうことを示すものと考えられた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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渋井 仁志
日本配合飼料株式会社中央研究所飼料畜産開発センター
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入来 常徳
日本配合飼料株式会社中央研究所
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阿部 又信
日本配合飼料株式会社中央研究所
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渋井 仁志
日本配合飼料(株)中央研究所
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阿部 又信
日本配合飼料(株)中央研究所
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