飼料中窒素源が第1胃内微生物叢のアミノ酸組成,および有効性に及ぼす影響
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概要
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牛に窒素(N)源が異なる飼料を給与した際,第1胃内微生物叢のアミノ酸組成とその有効性に差が生ずるか否かについて検討した.微生物叢は細菌区分とプロトゾア区分とに分画し,アミノ酸の有効性はペプシン•パンクレアチンによる人工消化試験により判定した.実験1では,成牛2頭に対して稲わら以外に,大豆分離蛋白質または尿素を単-N源とする濃厚飼料を反転給与した.その結果,細菌区分についてはアミノ酸組成やその有効性に,飼料N源の差による影響を認めなかっだ.第1胃内液のプロトゾア数は尿素飼料給与期の方が若干少なく,その原因は主としてentodiniomorphs数の差に負うものであった.プロトゾァ区分は尿素飼料給与期の方がリジン含量が有意に低く(P<0.05),人工消化試験における消化率も低く,その際特にリジン,イソロイシンの遊離が悪かった(P<0,05).実験2では,成牛3頭に対して稲わらのほかに,尿素を単一N源とする精製飼料,尿素または大豆粕を含む慣用型飼料の3種類の濃厚飼料を割当てて,32ラテン方格試験を行なった.本実験においては,第1胃内プロトゾアの数や種類に大差はなく,その結果,プロトゾア区分のアミノ酸組成やその有効性にも,飼料間に差は認められなかった.以上の結果は,飼料N源が変化しても,第1胃内細菌やプロトゾアのアミノ酸組成およびその有効性には,あまり大きな差が生じないことを示唆している.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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