牛乳のシアル酸 : II. 初乳中のシアル酸含量及びその変動について
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概要
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初乳中のシァル酸含量及びその変動を調べる為に本実験を行なった.先ず,分娩後初搾りの個乳中のシアル酸含量及び分娩後5日間,毎日1回定期的に採取した試料(脱脂初乳,酸カゼイン,酸ホエー,12%TCAで沈殿する蛋白質及びそのロ液)中のシアル酸含量の変動を調べた.また透析性シアル酸の有無を調べる為に,上記の試料につき,VISKING膜を用いて48時間透析を行い,蛋白質含量を基準にして,透析されたシアル酸含量を求めた.次にDEAE-celluloseカラムによって,脱脂初乳の蛋白質を分割し,各fraction中の蛋白質及びシアル酸含量を定量した.なお人乳と初乳中のシアル酸含量を比較する為に,人乳中のシアル酸含量をも定量した.結果は次の通りである.1) 分娩直後の牛の初乳中には,多量のシァル酸含量が含まれていたけれども,人乳中のそれよりは低い値を示した.牛の初乳中のシアル酸含量の範囲は0.88〜1.35%(蛋白質含量に対し)で,人乳の場合は3.25〜8.26%であった.2) 牛の初乳中のシアル酸含量は分娩後急速に減少し,最初の搾乳時より12時間後には半分以下に減少した.同様な傾向が酸カゼイン,酸ホエー,12%TCAでの沈澱蛋白質及びそのロ液中にも見られた.3) 脱脂初乳を48時間透析した結果,33.66%のシアル酸が透析され,その大部分は酸ホエー,またはTCAロ液中に含まれていた.4) DEAF-celluloseカラムによって初乳の蛋白質は18 fractionに分割された.シアル酸は各fraction中に含まれていたが,特にFraction No.18に多く含まれていた.
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