カゼインに対するレンニン作用の研究 : DEAE•セルロースカラムクロマトグラフィーおよび殿粉ゲル電気泳動法によるレンニン処理した全カゼインとκ-カゼインの追究
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概要
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カゼイン溶液にレンニンを作用するとカゼインはパラカゼインになり,その際急激なNPNの遊離が観察される.この変化はカゼイン中の保護コロイドであるκ-カゼインの変化によるものであると言われている.そこで著者らはDEAE•セルロースカラムクロマトグラフィーおよび殿粉ゲル電気泳動法によりこれらの変化をさらに詳しく追究しようと試みた.1. レンニン処理した全カゼインがDEAE•セルロースカラムクロマトグラフィーで分別された時,0.275および0.300M NaClで溶出する2つの区分は反応が進むにつれ減少し,他方0.1N NaOHで溶出する区分は急激に増加した.殿粉ゲル電気泳動法によるこれらのフラクションの分析で0.275および0.300M NaClで溶出した区分はκ-カゼインの広がったバンドの消失を示した.また0.1N NaOHで溶出した区分は陰極方向に移動する2つの新しいバンドを示した.クロマトグラフィーで顕著な変化の見られなかった0.2N NaOHで溶出する区分は陰極方向に移動する3つの新しいバンドを示した.2. ZITTLEおよびCUSTERの方法により調整されたκ-カゼインはDEAE•セルロースカラムクロマトグラフィーで7つの区分に分別された.これらは大まかに2つの区分に分離された.即ち一つは0.250M NaCl付近で溶出したもの,他の一つは0.1および0.2N NaOHで溶出したものであった.κ-カゼインがレンニンにより作用された時,前者のグループは作用が進むにつれて減少し,後者は増加した.殿粉ゲル電気泳動法における各フラクションはκ-カゼイン特有の広がったバンドと陰極側に移動する3つの不明瞭なバンドを示した.2-メルカプトエタノールを含んだ殿粉ゲル電気泳動で各フラクションは陽極側に不連続のバンドと陰極側には0.2NNaOHで溶出した3つのバンド以外は2つのバンドを示した.レンニン処理したκ-カゼインの各フラクションの電気泳動図は陰極側に移動する成分は増加したが,レンニン処理前のそれと比較して大きな変化を示さなかった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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