牛乳のリパーゼ : V. 表面活性剤およびEDTAの影響,ならびにアニオン交換セルローズ•クロマトグラフィーによる脂肪分解酵素の精製
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概要
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脱脂乳およびその遠心沈殿物(9600G,60分)に対する表面活性剤処理およびEDTA,ピロリン酸ソーダによる溶解処理が,そのリパーゼに及ぼす影響を調べた.またアニオン交換セルローズ•クロマトグラフィー(DEAEクロマトと略称)を利用して,リパーゼの分離精製を試みた.結果は次のとおりである.1. 純水,ならびに0.05% Lauryldimethylbenzy lammonium chlorideまたは0.05% Sorbitan monolaurateによる洗浄処理により,沈殿物中のリパーゼは減少しなかつた.2. ピロリン酸ソーダまたはEDTAによる遠心沈殿物の溶解は,リパーゼ活性にほとんど影響を与えなかつた.脱脂乳では,EDTA処理により,リパーゼ活性が増加した.3. 脱脂乳および遠心沈殿物に10% EDTA溶液(pH7.2の0.2Mリン酸緩衝液に溶解)を1/9容加え,0.02Mリン酸緩衡液で24時間透析(1°C)した後,DEAEクロマトにより,1°Cで分割した.各分画で,Sephadexによる濃縮および純水に対する透析を行なつた後,そのリパーゼ活性を測定した.その結果,βカゼインに相当する2分画が比較的リパーゼ活性が高いことを認めた.0.25M食塩で抽出された分画の単位窒素当たり活性は,PH7.0およびpH8.6で測定した場合,それぞれ脱脂乳の22.9倍および8.6倍であつた.しかしながら同分割法に含まれるEDTAによる前処理および透析が,リパーゼ活性を1.4ないし1.5倍に高める(脱脂乳の場合)ことから,DEAEクロマトのみによる純化は,約15倍(pH7.0)および6倍(pH8.6)になるものと考えられた.以上により,脱脂乳中のリパーゼはカゼインミセルに強く結合し,とくにβ-カゼインと密接な関連を有することが推察された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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