実システム開発を通じた社会連携型PBLの提案と評価(情報システムの教育,<特集>社会的課題に挑む情報システム)

概要

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近年,ICT教育の手段としてPBLが注目されている.しかし,これまでICT教育において実践されているPBLは,構成主義学習理論においてジョナッセンが定義した学習の3段階の中の,2番目「アドバンスレベル」であり,テユートリアルにより実行されるべき範囲に限定されている,そこで,本論文では,ジョナッセンによる3段階の最終段階である「エキスパートレベル」の知識獲得を目指したカリキュラムとして,大学と自治体が連携し,学生自身が要求分析・設計・コーディング・実運用・保守を担当する社会連携型PBLカリキュラムを提案する.本アプローチによるPBLを2000年度より進めてきた.問題解決能力テストPSIによってPBL受講生を評価した結果,中心メンバとして活躍した学生・院生は,高い問題解決能力の指標を示した.その一方で,グループ学習特有の性質として,受講生の問題解決能力のバラツキが大きくなるなどの課題が明らかになった.本論文では,5年間の実践経験と課題をふまえて,社会連携型PBLのプラクティスを示し,今後のICT教育分野におけるPBLの発展の方向についてあわせて論じている.
一般社団法人情報処理学会の論文
2008-02-15