保育者の「気づき」を喚起する行動量に視点をおいた観察手法の提案

概要

論文の詳細を見る
近年, 幼稚園・保育所における「気になる子ども」が注目されている.気になる子どもについては, 早期に見つけ出して対応すれば, 成長とともに問題ではなくなるケースも報告されている.しかし, ひとりの保護者が20名以上の子どもを預かり, 一人ひとりの発達段階・交友関係を観察して, 子どもの個性に合致した保育を行うことは, 経験の浅い保育者には困難である.この問題を解決するため, 著者らは, 子ども達の運動量に着目して, 加速度センサを持つ歩数計を子どもにつけてもらい, 活動量データからのクラスタリングにより, 子どもたちの特性を見出す手法を提案している.本稿では, 特に, クラスタリングについて焦点をあて, 気になる子どもや交友関係を見出す手法について述べる.気になる子どもを見出すには種々のクラスタリング手法を適用した結果の総合が効果的であり, 一方, 仲間関係を抽出するにはWard法が効果的であった.提案手法は, 本稿で述べる1日単位の分析のみでなく, 「お散歩」「自由遊び」「リズム」などのより短い時間に対して適用すれば, その子どもの嗜好や得意・不得意に合致したきめ細かい保育のための支援手法になると考える.
2005-07-19