合成多孔性樹脂の園芸生産物への利用 : I.ポリフェノール成分の吸着と回収

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表面極性の小さい合成多孔性吸着剤(ダイヤイオンHP-20,三菱化成工業製)を用いて園芸生産物に含まれるポリフェノールの吸着・溶出に関する応用的実験を試みた.吸着性はカラム法により調べ, 吸着物はエタノール-水系の濃度段階法により溶出した.1.モデル実験の結果, 極性の大きい物質(糖・アミノ酸・有機酸・塩基・L-アスコルビン酸)は全くこの樹脂に吸着されなかった.2.既知のポリフェノールについて, (+)-カテキン・タンニン酸・ナリンギンは吸着されたが, 没食子酸は吸着されなかった.吸着したポリフェノールは10%から50%のエタノールにより95%から100%回収された.3.緑茶と紅茶の葉の熱水抽出物に含まれるポリフェノール様成分は大部分がこのカラムに吸着され, 除去できた.4.市販のブドウジュースをこのカラムに通したところ, アントシアニン色素と大部分のポリフェノールは除去された.遊離の糖は全く吸着されなかった.吸着された色素は20%から40%のエタノールにより大部分が回収された.5.このカラムにより市販のリンゴジュースを処理すると, L-アスコルビン酸は素通りしたが大半のポリフェノールは吸着された.リンゴ特有の香気成分もこの樹脂に吸着され, 20%と30%のエタノールにより回収された.6.ビワ幼果に含まれるプロアントシアニジンのほとんどのものがこの樹脂に吸着された.そして, 20%から50%エタノールにより溶出されたが, アルコール濃度の増加とともに, 溶出されてくるプロアントシアニジンの重合度も大きくなっていることがTLC分析で明らかとなった.これらの結果からHP樹脂が水溶液中から効果的にポリフェノールを除去できることが明らかとなり, また, ポリフェノール系の有用成分の精製・分離にHP樹脂を用いたクロマトグラフィーが有効であることがわかった.
鹿児島大学の論文
1983-03-15

合成多孔性樹脂の園芸生産物への利用 : I.ポリフェノール成分の吸着と回収

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