ブンタンの成育に伴う果実形質と貯蔵適性に関する研究
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概要
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1.ブンタンの成育に伴う形質の変化をまず明らかにするため, 1974年は5樹を供試し7月より12月まで6回, 1975年は3樹を供試し9月より翌年2月までの7回に渡り, 時期別に果実の肥大状況, 果皮歩合, 可食部%, 部位別の各種成分の消長, 貯蔵適性等を測定した.2.両年度の成績から総括すると, ブンタンの形質, 成分の時期別変動は次の2つのパターンに分けられた.(1)12月下旬で果実形質や成分の変動がほぼ停止するもの : 果実の肥大, 果皮歩合, クエン酸, ナリンギン, 果肉のビタミンC, (2)越年2月上旬まで増加するもの : 糖度, 果皮の色調aおよびb値, 果皮の還元型ビタミンC, であった.3.越年2月9日まで樹上においた果実は, 果皮の油胞部分の1部に色変りがみられ, 発生率は115果採収したうち47%に達した.これは樹上で凍霜害を受け, その後日光の直射等による温度障害を引起こしたものと思われる.4.12月採収果を貯蔵した場合, 果実の品質について試験したが, ブンタン果実のアルベド組織が肥厚している特性, 乾燥に弱い点等を考慮して, 従来の野囲い貯蔵に代る最適貯蔵法の確立が望ましいと思われた.5.これまでの結果を総合判断すると, ブンタンの収穫適期は従来の12月中旬より遅くした方が品質全般的に良好であると言えるが, 越年採収には凍霜害の問題が残るように思われる.6.ブンタンの主要有機酸はクエン酸が90%以上を占め, 次いでリンゴ酸が4%内外, イソクエン酸が1%内外含まれていた.また成育に伴い, 果実内でクエン酸の蓄積が12月まで増加を続けており, 温州ミカン, 夏ダイダイとは全く異なるクエン酸のパターンが認められたことは注目に値する.7.香気成分としては, 15〜16種含まれていることを同定し, 主成分としてリモネン, β-ピネン, α-ピネン, ミルセン, エタノール, アセトアルデヒド等を確認した.
- 鹿児島大学の論文
- 1978-03-19
著者
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橋永 文男
鹿児島大学農学部
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橋永 文男
青果保蔵学研究室
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伊藤 三郎
青果保蔵学研究室
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橋永 文男
Laboratory of Postharvest Physiology and Preservation of Fruits and Vegetables
-
伊藤 三郎
Laboratory of Postharvest Physiology and Preservation of Fruits and Vegetables
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恒吉 武雄
鹿児島県農業改良
-
伊藤 三郎
鹿児島大
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