亜熱帯性果実の果汁品質に関する研究 : I.ポンカン, タンカンの有機酸, 糖分および香気成分等の時期別変化

概要

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亜熱帯性カンキツであるポンカン, タンカンについて1973年9月から約1カ月おきに鹿児島県果樹試験場産の果実を採収し, 果実の成育に伴う果肉の有機酸組成, 果皮および果肉の糖分組成, 揮発性成分, アスコルビン酸などの変化を時期別に追跡した.1.ポンカン, タンカンとも成育に伴って果肉, 果皮ともいちじるしい糖含量の増大がみられるが, 果肉はショ糖の蓄積, 増加が顕著であり, いっぽう果皮では還元糖の増大がいちじるしかった.果糖とブドウ糖の割合は, 果肉では果糖の方が全期間を通じて高く, 果皮では一定の傾向を示さないが, タンカンではブドウ糖のほうが多かった.果肉と果皮間では糖組成の差は明瞭であり, ウンシュウ, 夏カンと同じ傾向であることがわかった.2.有機酸組成はいずれも14種類が検出されたが, クエン酸が最も多く, 成育につれて減少し, 全有機酸中の割合はポンカン89→77%, タンカン92→77%となった.続いてリンゴ酸であり, コハク酸, α-ケトグルタール酸, フマール酸, ギ酸, β-ヒドロキシ酪酸, イソクエン酸などが次に多く, 成熟につれて酢酸は増加し, マロン酸, グリコール酸は減少した.3.果肉の揮発性成分は量的にはわずかであるが, ポンカンはリモネンが多く, タンカンはエタノールが多くて約半分を占め, 次にアセトアルデヒド, メタノールの順であった.一方, 果皮はリモネンが主成分で成育につれて多少増加し, また微量のメタノール, アセトアルデヒドも増加したが, γ-テルピネン, γ-シメン, β-ピネンは減少した.タンカンはγ-テルピネンが極端に少なく, またp-シメンは検出されなかった.果皮のエーテル抽出成分ではタンカンはリナロールがとくに多いのが特徴であった.4.アスコルビン酸は果汁では各品種とも成育に伴なって増加し, 還元型ビタミンCはとくにタンカンが最も多く成熟に伴って48〜60mg%に達し, ウンシュウの約2倍量含有していた.酸化型ビタミンCはポンカン, タンカンとも果実が未熟な9月上旬頃とくに多く以後減少するが, タンカンはその後2月, 3月酸化型が再び増加し, 酸化型ビタミンCの占める割合が高くなった.5.上記のように主要成分の時期別組成を追跡, 比較した結果, ポンカンの化学的成分はウンシュウと近似していたが, タンカンとはやや異なることが明らかになった.
鹿児島大学の論文
1975-03-20

亜熱帯性果実の果汁品質に関する研究 : I.ポンカン, タンカンの有機酸, 糖分および香気成分等の時期別変化

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