カンキツ類のリモノイドに関する研究 : I.ポンカン, タンカン, 早生ウンシュウ, ナツダイダイ果実のリモノイド組成の時期別変化
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概要
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ポンカン, タンカン, 早生ウンシュウ, ナツダイダイの苦味成分の1つであるリモノイド化合物を種子, 果肉, じょうのう膜, 果皮に分けて経時的に測定した.さらにナツダイダイ種子から単離したリモニンとノミリンの苦味を官能審査によって比較した.1.塩化メチレンで抽出したリモノイドを薄層クロマトグラフィーで分離し, エーリッヒ試薬で発色させたのち, リモニンを標準試料に用いて直接クロマトスキャナーによって測定した.本法は回収率91〜109%, 変動係数5〜6%, ノミリンの発色率75%であり, 比較的簡易迅速な定量法である.2.ポンカンにはリモニン, ノミリン, リモネキシ酸の3種が含まれ, タンカン, 早生ウンシュウ, ナツダイダイには上記3種の外にデオキシリモニン, デアセチルノミリン, オバクノンの6種が含まれていた.ポンカン, タンカンの種子とじょうのう膜にはノミリンが最も多く, つづいてリモニンであった.また種子のリモノイドはナツダイダイよりも多かった.3.果実の成熟に伴って種子ではすべてのリモノイドが顕著に増加したが, 果肉では一定の割合で減少した.ポンカンの果肉中のリモノイドはタンカンより多かった.供試した4種のカンキツともじょうのう膜のノミリン含量が収穫適期直前に, リモニンよりも急激に低下することが見い出された.また早生ウンシュウのじょうのう膜中にはリモニンが最も多く含まれ, 成熟につれて速やかに減少した.4.ノミリンは官能審査の結果, リモニンの約2倍の苦味を呈し, ポンカンとタンカンの種子と未熟じょうのう膜に多量に存在することから, これらの果実の苦味の主成分であると推定される.また早生ウンシュウの未熟時に多いじょうのう膜中のリモニンが時々苦味を呈するものと考えられる.
- 鹿児島大学の論文
- 1977-03-19
著者
-
橋永 文男
鹿児島大学農学部
-
橋永 文男
青果保蔵学研究室
-
伊藤 三郎
青果保蔵学研究室
-
橋永 文男
Laboratory of Postharvest Physiology and Preservation of Fruits and Vegetables
-
伊藤 三郎
Laboratory of Postharvest Physiology and Preservation of Fruits and Vegetables
-
江島 宏
(現)福岡県園芸農業協同組合連合会
-
永浜 秀人
(現)丸大食品株式会社
-
伊藤 三郎
鹿児島大
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