カキシブおよびそのタンニン分解産物による<I>Escherichia coli</I> B/rの紫外線誘導突然変異の抑制作用
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概要
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カキ渋の新しい産業的利用の開発を目指して, カキタンニンとその分解産物の紫外線誘導突然変異抑制作用を調べた. 突然変異抑制活性の測定にはトリプトファン要求性の大1陽菌 (<I>Escherichia coli</I> B/r WP2 trpE)を使い, そのトリプトファン非要求性への復帰変異体のコロニー数の発現率を調べることにより行った.<BR>1, カキ渋には顕著な抗変異活性は認められなかったが, 除タンニンカキ渋とカキタンニンのプレート当たり1mg添加区では58%と72%のRMA値 (相対突然変異誘導率) を示した. 特に, カキタンニンの分解産物のプレート当たり1mg添加区では37%の低いRMA値が観察され, 著しい抗変異活性が認められた.<BR>2.カキ渋から精製したカキタンニン (10g) をフロログルシノール分解して, 構成成分である単箪体のフロログルシノール付加物, 成分A•B•C•Dについて比較したところ, 成分B>D>C>Aの順で抗変異活性が強く, ガロカテキンのフロログルシノール付加物であるB成分が最も活性が強く, カテキンの付加物 (成分A) はほとんど活性が認められなかった.<BR>3.ポリフェノール成分の構造と活性の強弱の相関を検討したところ, ピロガロール環 (隣接した3個のフェノール性水酸基をもつベンゼン環) の重要性が確認された. また, フラバノール骨格のC環の2位に結合しているピロガロール環の方が3位の水酸基にガロイルエステル結合した没食子酸由来のピロガロール環よりも抗変異活性の発現に重要であることが示唆された.<BR>4.これらポリフェノール成分の抗変異活性の発現にはDNA除去修復欠損株を用いた実験よりDNA除去修復機構が関与していることが示唆された.<BR>以上のことから, カキ渋中には少なくとも2種類の抗突然変異物質 (タンニン関連物質とタンニン以外の未知物質) が存在することが明らかとなり, カキ渋が新しい生理活性物質の原料となり得ることが推測された.
- 園芸学会の論文
著者
-
松尾 友明
鹿児島大学・農・生物資源
-
富田 勲
静岡県立大学薬学部
-
松尾 友明
Faculty Of Agriculture Kagoshima University
-
富田 勲
静岡県立大学
-
伊藤 三郎
鹿児島大学農学部
-
下位 香代子
静岡県立大学・環境科学研究所
-
木下 誠
鹿児島大学農学部
-
岡田 義秀
静岡県立大学薬学部
-
下位 香代子
静岡県立大学薬学部
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