犬糸状虫感染の免疫学的予防

概要

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犬糸状虫感染の免疫学的予防について, 免疫処置法の異なった3つの試験群を設定し, それらの感染防御効果を評価した. すなわち, それぞれの試験群は, 1) 20Kradの放射線照射した感染幼虫を接種した群, 2) 接種した感染幼虫をivermectin投与により殺滅して免疫した群, および3) 2) の方法にフロイントの完全アジュバント投与を加えた群とした. 総ての試験群は, 免疫犬2頭と対照犬2頭の合計4頭で構成した. 攻撃感染は, 免疫犬の抗体価の陽転をELISAによって確認した後, 感染幼虫100匹を皮下に接種して実施した. 実験犬は, 感染後17-25週後に剖検, 心肺から虫体を回収し, 寄生虫体数を確認した. 感染防御効果は対照犬と免疫犬の回収虫体数から算定した防御指数で評価した. 1) の免疫犬から平均38匹 (防御指数42.0%) の第5期虫が検出され, 2) でも同様に36匹 (防御指数51.7%) が回収された. これに対してアジュバントを加えた免疫群では, 平均回収数が15.5匹, 防御指数が72.3%であった. また, 感染防御成立の評価法として, 末梢血中の好酸球数の動態を検討したが, 防御免疫の効果を示唆できるような変動は確認されなかった.
社団法人日本獣医学会の論文
1997-12-25